江戸川区立第二葛西小学校

子どもたちのさまざまな活動と地域との交流を生み出す学校づくり

江戸川区が実施している小中学校改築計画の2校目として実施された学校です。昭和7年に開校し、長い歴史と伝統に育まれてきた同校は、小松菜の栽培や昔遊びの授業、二葛西祭りなど地域住民との交流が盛んで「地域の学校」としての役割を果たしてきました。新しい学校でも、子どもたちが活発に学習・生活できる環境・空間だけでなく、地域の活動拠点となることを目指しました。
平面計画では二つの中庭を中心とした「8の字プラン」として、中庭を介して異なる学年の子供たちの活動が見えるようにしながら、回遊性と学年ごとのユニットの独立性を両立しています。
断面計画としては1階に管理諸室や給食室、地域に開放される特別教室を配置し、2・3階に普通教室やメディアセンターを配しています。避難所としても使われる体育館は、浸水を避けるために2階に設置しました。

施設概要

所在地
東京都江戸川区[ ]
用途
小学校
構造
RC、S
規模
地上4階
延床面積
9,708m2
竣工
2013年12月

多様な学習形態と交流を実現する全体構成

学齢毎に異なる学習形態を踏まえた普通教室廻りの計画

それぞれの学齢の学習形態に合わせた教室を計画しました。

低学年教室

簡単な実験や観察、作業ができるように、水場を持ったワークスペースと上履きのまま出られるテラスを設置しました。普通教室内でさまざまな活動が行える教室ユニットです。

中学年教室

学級の一斉学習だけでなく、学級を越えた授業展開に対応する教室ユニットです。

高学年教室

個別学習や習熟度学習に対応した少人数教室を持った教室ユニットです。

特別支援教室

3つの教室と多目的室、専用の流し台の設置、なかよしの庭など外での活動も可能な構成としました。

関連する特別教室をまとめて配置

相互利用が想定される特別教室を、児童の学習成果を展示・発表できるスペースである教科メディアの周囲に配置、多様な授業展開や地域活動を生み出す計画としました。

    メディアセンター

    図書室を中心に、パソコン室や教科メディア、学年メディアと連携した情報教育の核となるメディアセンターを学校の中心に配置します。

    ものづくりユニット

    家庭科室+図工室のものづくりで連携し、廊下側に作品展示棚を設置しました。

    食ユニット

    ランチルーム+家庭科室で連携、親子給食やマナー給食、その他イベントに対応します。

    サイエンスユニット

    理科室+図書室+パソコン室で連携。理科の授業での調べ学習に対応します。

    音楽ユニット

    二つの音楽室+楽器庫で連携。楽器が見え、児童の興味を持たせる環境をつくります。

居心地の良い生活空間

自然採光・自然通風に配慮した明るい学習・生活環境を目指しています。そのため、校舎全体をメディアセンターを中心に視認性が高く、学年同士の交流が生まれるよう構成しました。そのほか、子どもの身体寸法を踏まえたサイズとして楽しく行きやすいトイレ、学校の南側に配置され、校舎や校庭利用がしやすいすくすくスクール、なかよしの森の豊かな緑を継承した外構などを計画しています。

設計者からの一言

学校全体が環境教育の場となる仕組みづくりを行いました。建物自体の基本性能を高めて省エネに寄与することはもちろん、庇やバルコニーによる日射制御、中庭からの自然採光や通風などのパッシブな工夫、また雨水再生や太陽光発電などのさまざまな省エネ機器により、「見える・育てる・学べる」をテーマとして学校全体が子どもや地域学習の場となります。
また、江戸川区の小中学校改築計画の2校目の例となるため、今後の建て替え計画のモデルとなることを願っています。

撮影者:エスエス東京