京都市立八瀬小学校

小さな森の音楽堂

京都市北部に位置する八瀬地区に計画された小学校の建替計画です。八瀬地区は300年以上にわたって伝わる「赦免地踊」(京都市無形民俗文化財)と呼ばれる祭りをはじめ、地域性豊かな歴史と文化が残された地区です。
この地域の小学校は、教育の場であるとともに、赦免地踊の練習や地域の集いの場としても使われてきました。
新しい学校は、こうした歴史を踏まえ、地域の中心となるだけでなく、八瀬地区ならではの文化や個性、そして豊かな自然を随所に取り入れられるよう計画された「伝統・文化をつなぐ」学校です。

施設概要

所在地
京都府京都市左京区[ ]
用途
小学校
構造
RC、W
規模
地上2階
延床面積
3,352m2
竣工
2014年2月

受賞歴

2018年
京都景観賞 建築部門 審査委員奨励賞
2014年
京環境配慮建築物顕彰制度 一般建築物新築部門 環境建築賞

木造とRC造の混構造の回廊プラン

八瀬舞台を中心とした回廊プラン

回廊の中心には「八瀬舞台」といわれる中庭空間をつくりました。中庭に面して配置された音楽室の建具をすべて開けると、音楽室と中庭はステージ・観客席となり、八瀬舞台が完成します。

適材適所のハイブリッド構造

廊下、音楽室、多目的スペースなど騒音・振動の発生が懸念される場所はロの字状のRC造としました。教室部分は木造とし、RC造に寄り添うように配置され、木材を多用した温かみのある空間としています。

記憶に残る学校

ロの字状になった校舎の全方位の随所に八瀬の自然を感じられるよう、開口部を設けました。階段についてもそれぞれに特徴を持たせ、子どもたちの記憶に残る学校を目指しています。

設計者からの一言

八瀬舞台では開校後、全校音楽集会が開催されました。今後も新校舎のさまざまな使い方を検討されていると伺っています。これからの八瀬小学校のさらなる成長を楽しみにしています。

撮影者:A.P.First 荒木義久