Kumamoto Common Government Office, Building B

熊本駅周辺全体の景観向上を目指した都市空間をつくる

「熊本地方合同庁舎B棟」は、先行整備された「熊本地方合同庁舎A棟」の敷地内に、国の機関が7つ入居する合同庁舎として整備が進められました。

敷地が熊本駅周辺地域に位置していることから、「熊本駅周辺地域都市空間デザイン会議」や「新熊本合同庁舎及び周辺地区整備協議会」において駅周辺地域に建つ合同庁舎のあり方について議論し、庁舎としての機能性はもちろんのこと、駅周辺地域全体の景観向上を目指しました。敷地内の植栽や舗装計画を駅周辺地域の計画と合わせることで、敷地と周辺地域の境界をなくし、一体的な都市空間が形成されるよう計画しました。

Building Data

Location
Kumamoto-shi, Kumamoto[ ]
Usage
Clerical work agency bldg.
Construction
S, SRC
Scale
9F/B2F
Total Floor Area
24,389m2
Year of Completion
10/2014

熊本らしさ

熊本の歴史・文化・風土を読み取り「熊本らしさ」と機能を合わせて表現しました。東西面の外壁は、石張りの基壇部の上に漆喰調の白い縦ルーバーを配置、熊本城の「石垣」と「長塀」をモチーフとしています。ルーバーは20度の角度をつけて設置され、東西面の日射制御を兼ねています。内部のグリーンアトリウムと呼ばれる吹き抜け空間に面した階段室の壁面にも、下見板貼りの壁と階段にいる人の目線に合わせて配置した小窓を設置し、熊本城をモチーフとしつつ、階段の視認性を高めました。

グリーン庁舎

北側ファサード中央部には「グリーンテラス」と呼ばれる、広場の緑と連続する壁面緑化を設け、広場や周辺地域に緑豊かな景観を提供しています。南側は煙突効果により自然通風を促すエコシャフトをファサードの中心に配置し、グリーン庁舎をシンボライズするデザインとしました。その他高断熱など環境性能を向上させ、CASBEE熊本でSランク(自主評価)を実現しました。

土地の記憶を残す

駐輪場の外壁には、土地の記憶を継承するため、この敷地に以前建っていた工場の外壁に使われていたレンガを再利用しました。 その工場には明治期に建てられたレンガ造の建物をはじめとした50余りの建物があり、かつては地域を特徴づける景観を形成していました。地域住民の皆さんから土地の記憶を残してほしいという声が寄せられ、レンガの再利用を行いました。

設計者からの一言

使う人の目線に立ったユニバーサルデザインを追求するため、サイン計画や多機能トイレ等について、設計から施工にわたり熊本市内の障がい者団体等に4回にわたって実物大のモックアップ等を用いてご意見を伺い、その内容を密度を上げて設計に取り入れることでデザインのスパイラルアップを行うことができました。

Photo:エスエス九州