香川県立中央病院

高度医療と災害時医療の拠点香川県立中央病院

県の基幹となる病院の計画です。特に災害時や緊急時の迅速なアクセス、そして効率的な物品の搬送経路を確保するために、主入口の同線とは別に外周道路と直結された敷地内道路を計画しています。

救命救急センターは敷地内道路に面して配置、東西2方向からアクセスを可能にし、放射線診断部門や内視鏡センターを隣接させることで救命救急機能の充実を図っています。さらに、大型搬送用エレベータで手術部や集中治療部、ヘリポートをつなぐことで緊急時における迅速な患者搬送を可能にしました。

災害時の病院へのアクセスルートを【市街地→災害活動空地→トリアージスペース→1・2階臨時収容・診察エリア】と段階的に設定するとともに、各所に医療用ガスや電源など災害時の医療機関における診療機能を継続するための設備を設けることで、スムーズな誘導と確実な被災者救護が可能な計画としました。

施設概要

所在地
香川県高松市[ ]
公式サイト
WEB
用途
病院
構造
RC、SRC、S、免震構造
規模
地上11階
延床面積
45,884m2
竣工
2013年11月
備考
病床数 531床

受賞歴

2014年
香川県建築士会表彰作品 特別賞

安心と安全を感じるヒューマンホスピタル香川県立中央病院

機能的で分かりやすい施設づくり

患者さんとスタッフの動線を明確に分離し、わかりやすく、使いやすい施設を実現することを基本方針としました。
特に、患者さんが主に利用する1・2階においては、「ホスピタルストリート」と「スタッフストリート」を主動線軸として設定し、動線の分離を図りました。

患者さん・スタッフへ良質な環境を提供

ホスピタルストリートに面して各部門の受付を分かりやすく配置するとともに、光庭やハイサイドライトを配置して積極的に自然の光や風、緑を取り込み、患者さんの不安感を和らげるアメニティ豊かな療養環境の実現を図っています。

周辺環境との共生

敷地東側の広場を基点に車寄せを連続させ、主入口・レストラン・講堂・地域医療連携課を配置することで、地域の顔となる開かれた病院づくりを心がけました。
また、この地域は非常に緑が少なく、病院が地域緑化の拠点となることを狙って、雨水調整施設の緑地公園化や敷地外周施設の積極的な緑化を推進しました。

設計者からの一言

患者さんの不安や緊張感を和らげるため、内装材には落ち着きのある色彩や素材を選びました。また、ホスピタルコート(光庭)やトップライトから、自然光や緑を積極的に取り入れ、明るく清潔感のあるデザインを心がけました。

香川県立中央病院の特徴

災害時の医療拠点として、診療機能の継続が可能となる安心・安全な施設づくりを行いました。津波・高潮対策として敷地地盤レベルのかさ上げや敷地外周への築山の構築、防潮板の設置等を行ったほか、地盤改良による液状化対策、非常用発電装置を設置した防災棟の新設等を行っています。

撮影者:近代建築社ほか