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代表取締役社長

設計事務所トップの視線2014「新たなカタチの総合性」が必要
人間力あふれる人材を育てる

昨年を振り返ると。

激震ではなく、小さな変化がたくさん押し寄せ、揺さぶられた1年だった。一つ一つの問題や出来事には関心が示されても、大局が見えずに大きな展望を描けないでいる。建築家に思想や主張がなくなり、建築に夢や希望、可能性を感じ取れない。建築の存在が希薄になっている由々しき事態だと思っている。少子高齢化し縮小する社会と新しい時代に、建築の構想力によってコミットしていかなければいけない。お金を唯一の尺度にしている以上、経済格差は必ず起きる。格差や階層をのみ込んだ新しい社会像、資本主義を創らなくてはいけない。建築はそこに切り込み、未来を展望し、次のビジョンを提示する力があると信じている。

14年の経営の基本方針を。

ゼネコンによるデザインビルド(DB)や、金融や商社などが参入するPFIなど発注の仕組みが多様化し、建築設計専門の事務所がその存在意義を問われている。競争社会を生き抜くためにもコアコンピタンス(優位性を持つ分野)をあらためて見つめ直し、それをどう磨き、どう展開していくかだ。多様性を見据えて『新たなカタチの総合性』を必要とする時代に入った。社会の変化やありようをしっかり見つめながら、体質改善や意識改革を推し進めていきたい。

注力する取り組みは。

社会や顧客と共に新しい種を見付け、芽を育てる『シーズ型』の提案を次のステップに進めたい。設計事務所としての発信や主張がますます重要になっている。例えば、地方を変えることで日本が変わるということを発信していきたい。衰退する地方都市や東北の被災地にこそコンパクトシティーを目指したまちづくりが必要であり、新しい魅力ある都市の姿を発信できるはずだ。

従来型の都市づくりの限界も訴えたい。これまでは都市を明るく、開かれた『表』にする努力をしてきたが、表には必ず『裏』も存在する。コンパクトシティーもそうだが、都市のあり方を根本的に見直していくことが設計事務所に求められる重要な役割だと考えている。

ここ数年、働き方の改革に取り組んでいる。

所員一人一人の価値観や生きがいをうまく取り込むとともに、設計だけでなく総務や営業などすべての所員の英知が収れんした組織を目指す。それを実現するにはトップダウン型ではなく、所員自らが参画するという意識改革により、働き方を変えていくことが大切だ。2年前から働き方を変える自主的な実践が行われており、少しずつ芽が出始めてきた。豊かで幅の広さを備えた人間力あふれる人材を育てていきたい。人間力を培うことは設計力の向上につながっていくと考えている。

日刊建設通信新聞
 2014年1月16日掲載