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2019年4月11日 取り組み

Izumi Art Gushが開催されました

大阪府和泉市は、大阪市内から鉄道で約40分というアクセスの良さからベッドタウンとして発展し、最近では都市環境と郊外の良さを併せ持つ「トカイナカ」として発展を遂げている街です。
会場は和泉シティプラザ。和泉中央駅からペデストリアンデッキでアクセスします。

当日行われたアートツアー。プロデューサーの山本あつしさん(右)のご案内でアートを見て回ります。
作品は広重の『東海道五十三次』などをモチーフにした『Travelers from the museum』。作者は北窓優太さん(左)。
和泉シティプラザの壁面に描かれた「泉州沖勇魚浪裏(せんしゅうおきいさなのなみうら)」は葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をモチーフにしています。作者は中川学さん。

市内には、日本有数の浮世絵コレクションを含めて約11,000点の収蔵品を誇る和泉市久保惣記念美術館があり、2016年には美術館を中心とした「和泉・久保惣ミュージアムタウン構想」が策定されるなど、美術館と街が融和した質の高い空間づくりを目指しています。

そんな和泉市で、3月21日に「Izumi Art Gush」のオープニングセレモニーが行われました。「Art Gush」は、和泉市と和泉・久保惣ミュージアムコンソーシアムの主催により、久保惣記念美術館が収蔵するコレクションのうち約30点を現代のクリエイターがリライトし、リライト作品を美術館周辺に展示するというイベント。
リライトされた作品は、葛飾北斎の「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」や東洲斎写楽の「二世坂東三津五郎の石井源蔵」といった浮世絵から、モネの「睡蓮」やゴッホの「紡ぎ車を操る女」などの西洋絵画、そして「青銅蟠龍文有蓋鼎」や「国宝 青磁 鳳凰耳花生 銘万声」などといった工芸品など多種多彩。
「湧き出る」、「あふれだす」を意味する「Gush」の言葉通り、アートが街にあふれだすイベントとなりました。

同じく1階ロビーに描かれているのはたかはしななさんによる「Catnap Dream」。モチーフはなんと『青銅蟠龍文有蓋鼎』などの古美術品。

展示されているのは、最寄り駅の泉北高速鉄道・和泉中央駅や、私たちが設計を手掛け、2003年にオープンした文化・交流複合施設「和泉シティプラザ」など、美術館周辺の半径2キロ範囲内。

西側の壁面には東學さんの「葛の葉姫」。広重の『小倉擬百人一首 中納言兼輔』をモチーフに、書家・永山玳潤さんの書を添えて。作者お二人によるユニークなやりとりに一同大うけ。

和泉市副市長の藤原明さんは「駅周辺の一帯は、和泉シティプラザが完成してから副都心として人口も増え、商業施設なども充実してきた。来訪者と定住者を増やそうと『Art Gush』を始めた」と説明してくださいました。実は藤原さんは和泉シティプラザの初代館長も務められた方。

「自分にとっても、シティプラザは計画、設計の段階から深くかかわってきた建物。設計の段階だけでなく、建設中も市民の皆さんやアーティストとワークショップを開き、施設にどうやってアートを取り込んでいくかを考えた。さらに、作品によっては市民の皆さんにも参加してもらって作りあげてきたものもある。こうした取り組みが20年近くの時間を経て実を結んで、アートとまち、そして人とのつながりを生み出すようになった」と感慨深げでした。

また、みんなで周辺を清掃する「お掃除Gush」など、アートに限らず「Gush」をテーマにした取り組みも進められ、和泉の街をよくしていこうという活動が進められています。

桃山学院大学に向かうまなび野橋の“裏側”にはマッドバーバリアンズによる「相馬の古内裏?MADだョ! 全員集合?」が。こちらは歌川国芳の「相馬の古内裏」をキュートにリライト。

2月からリライト制作が始まり、3月21日にお披露目となったこのイベントですが、リライト作品は恒久的に展示されるのでいつでもアートに触れることができます。また、それぞれの作品のそばには元になった収蔵品の情報も展示されているので、一粒で2度美味しくアートを味わうことができます。
興味がある方はぜひ和泉市まで!